「オリジナル小説を書きたい」「二次創作を始めたい」という人は多いです。小説を書くには基礎力・ルール・語彙力等が必要になってきますが、全てを一から勉強するのは難しいです。
そこで、ここでは小説を書く時に最も大切な視点について説明していきます。視点は大きく分けて
・神様視点
・主人公視点
・第三者視点
の三つに分かれています。
例
・女は男に向かって優しく微笑んだ
・私は彼に向ってほほ笑んだ
・隣の席に若いカップルが座っていた。
女性はグラスを置いて、恋人に向かってニッコリとほほ笑んだ。
これらは小説の指南書によく書かれている事ですが、ここではもう少し踏み込んでそれぞれの視点の特徴・メリットとデメリットについて書いていきます。
視点を意識すれば一次創作・二次創作問わずに小説が書きやすくなるので、参考にしてください。
神様視点のメリット・デメリット
作者視点ともいわれています。登場人物の気持ち、性格、時代背景、全てを作りだす事ができます。
例:
同級生の田中は陰湿な奴だ。山田はそう思っていた。
田中は放課後、下級生を校舎裏に呼び出してサンドバックにしているからだ。
そのくせクラスではムードメーカー的な存在で人気を集めている。
むかつく奴だ。
メリット
全てを作り出す事ができるので、話の幅を広げやすいメリットがあります。サブキャラクターや悪役の心情も自由に書く事ができます。
デメリット
高い語彙力・文章の構成力が必要になります。
5W1Hをしっかり書かないと誰がどこで何をしているかが伝わりにくいです。
また、途中でアイディアを盛り込みすぎると物語が脱線し、終わらなくなります。
例:
田中は陰湿で嫌な奴だ。山田はそう思っていた。
先週の木曜日、山田は偶然見てしまったのだ。田中が下級生を呼び出してサンドバックにしている所を。
正義感の強い山田は弱い者いじめをする田中を許せなかった。
山田がそう考えていると「バン!」と、背後から大きな音が聞こえた。
びっくりして振り返るとそこには身長2mはある巨大な宇宙人が立っていた。
また、著名人・有名人の固有名詞の入れ方には注意が必要です。
「顔はイマイチだが手足は長く、スタイルがいい。タレントの〇〇に似ている」
この視点におすすめのジャンル:ファンタジー、オリジナル小説、SF
主人公視点のメリット・デメリット
メリット
物語の主人公の視点です。「私は~そう思った」と、主人公の視点で物事をしっかり書けるのが特徴です。
主人公の心情も書けるので、読者が感情移入しやすいです。初心者におすすめの視点です。
例:
「ごめんなさい」
五十嵐はか細い声で申し訳なさそうに謝った。5年間の片想いが破れた瞬間だった。
頭を下げ続けていた僕には彼女の表情は見えなかった。彼女にも僕がどんな顔をしているか見えていないだろう。
それが唯一の救いだった。
この視点におすすめのジャンル:ライトノベル、ハードボイルド、シリアスな作品、純文学
デメリット
主人公と共に話が進んでいくため、他のキャラクターの気持ち・行動は推測でしか書けません。
「彼女は~のようだ」
「彼女は~かもしれない」
「彼女は~だったんだろう」
また、キャラクターの言動・性格・仕草をよく理解し、そのキャラに合わせて文章を作る必要があります。
1.僕は口にパンをくわえたまま、急いでスニーカーを履いた
2.僕は口元についたパンのカスを拭いながら、スニーカーを履いて外に出た
3.僕はパンを食べた後、歯を磨いて身支度を整えた。スニーカーの靴ひもを結び直し、ゆっくりと玄関の扉を開けた。
第三者視点
主人公以外の第三者の視点です。主人公A×B←CのB,Cにあたる人物です。
メリット
主人公視点では分からなかったことが分かるようになります。また、章・シーンごとに主体を変える事ができるので読者が色々な見方をできるようになります。
例:
「じゃぁまたね」
Aは小走りでBの元にかけよっていた。Bは目を細めてAを迎えたが、スマホに気を取られていたAはそれに気づかなかった。
――
「じゃぁまたね」
AがCに別れを告げていた。駆け寄ってくるAは小動物のようで、僕は思わず抱きしめたくなった。
デメリット
一人称・三人称の名前にする事で視点の幅が広がりますが、混ざってしまうと読みづらい文章になってしまいます。
佐藤は田中先生を追いかけ「先生!」と、叫んだ。田中はゆっくりと振り返った。
――
「佐藤」
声をかけると、佐藤は途切れ途切れに何かを伝えようとしていた。
僕は何とか佐藤の言葉を聞き取ろうとしたが、放送室から流れてくるアナウンスがそれを邪魔した。
――
僕は必死に先生にあの事を伝えた。でも、僕の言葉は先生には伝わっていなかった。
この視点におすすめのジャンル:複数の恋愛模様を描く作品(BL、NL等)
複数の視点を組み合わせてもいい
上記で紹介した複数の視点は組み合わせてもOKです。
例:
私は神に懇願した。どうか彼女を救ってください、と。すると、横たわっていた彼女の体が黄金色の光に包まれた。
――
「馬鹿な」
私は思わず呟いた。10年間寝たきりだった娘の体が黄金色の光に包まれ、次の瞬間、娘の体はフワリと浮かび上がった。
その場にいた全員が宙に浮くカオルを見つめた。
おすすめの練習方法
書き方を練習するには複数のジャンルの小説を読むのが一番効果的です。語彙力が増え、文章を組み立てる基礎が出来上がってきます。
また、気になった文章を見つけたら作品名・作者の名前と一緒にメモしておくと、自分でも気づかなかった好みが分かってくるのでおすすめです。
青空文庫……芥川龍之介先生、夏目漱石先生など時代を築いた作家の作品を読む事ができます。
【ネット文庫 星の砂】……小説、童話、絵本、マンガなど幅広い作品をスマホやタブレットで簡単に読むことができます。
映画・ドラマを観ながら物語の起承転結を頭の中でまとめるのも効果的です。下の記事は漫画のプロットの描き方ですが、小説のプロットでも応用ができるので参考にしてください。
上手い漫画にプロットは必須!簡単な書き方とコツ、アプリについて
小説の関連記事:スマホからpixivに小説を投稿する方法について